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現代医学と漢方

 

開業して15年、日々漢方を勉強してきました。なぜ漢方を学び続けるのか?西洋医学だけでは治せない患者が多く存在するという事実があるからです。漢方は患者に恩恵をもたらすことができると信頼できたからです。

 

〇 医学は日夜進歩を続けている。それでもなお病気に苦しむ人は少なくない。より多くの人々の苦痛を和らげるには、洋の東西を問わず、総力を挙げなければならない。

〇 伝統医学を有する多くの国々では、伝統医学の医師の資格と西洋医学の医師の資格とは別個のものとされ、同時に取得することができない。

〇 しかしながら、唯一わが国のみ、一人の医師が東西両医学を実践することが許されている。これは世界に誇り得る制度であり、国民医療のために慶賀すべきことである。

 

上の文章は稲木一元氏(いなきかずもと)松田邦夫氏(まつだくにお)共著書「ファーストチョイスの漢方薬」の序言から引用させていただきました。

西洋医学は現代医学と読み替えていただくとよいと思います。伝統医学は東洋医学、中医学、漢方などと読み替えていただくとわかりやすいと思います。

現代医学と漢方はどちらも体系づけられた医学であり、お互いに補完しあうことができると考えています。

「冷え症」を例に挙げてみます。以下に花輪壽彦氏(はなわとしひこ)編集著書「漢方処方ハンドブック」から引用させていただきます。

 

〇 現代医学では「冷え症」はさほど問題にされない。しかし漢方では非常に重要な概念である

〇 最古の漢方治療書とされる「傷寒雑病論」に「婦人妊娠の病・産後の病・雑病の脈証ならびに治」があり、産婦人科疾患に多くのページが割かれている。例えば月経の不調が婦人病の重要な要因となっているとして、月経の不調は抵抗力の低下に乗じて「冷えが積もって気が滞る」ためと述べている。

〇 冷え症を主訴に来院する患者には甲状腺機能低下症や貧血、肝機能障害が隠れている場合があるので必ず検査をする。

〇 心疾患や血流障害でも冷える。ペースメーカやステント留置患者も冷えを訴えることがある。

〇 「冷える」ことが気のめぐりを阻害し、それにより血の停滞、水の停滞と、「気・血・水」に影響する。冷えるという誘因に対しては温める薬を、気のめぐりが悪いと考えればそれを改善する薬を、血が停滞するなら血行をよくする薬、水はけが悪ければ水はけをよくする薬を対応させる。

 

いかがでしたでしょうか。現代医学と漢方は補完し合って、医学の総合力を向上させていることが実感できましたでしょうか。

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